『交通事故』20年の除斥期間経過後の訴訟提起

広島の弁護士、齋藤法律事務所です。

判例時報・備忘録 水戸地裁下妻支部平25・10・11判決
・平成4年12月29日に父の運転する乗用車に乗車中衝突され、脳挫傷、軸椎歯突起骨折等の重傷を負ったところ、平成24年8月8日症状固定の診断、平成24年9月26日に自動車損害賠償責任保険の事前認定により併合10級の後遺障害認定を受け、平成25年2月23日に訴訟提起した。
・民法724条は、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」と規定する。そうすると、本件で、事前認定を受けた時点では、二十年が経過していなかったが、訴訟提起時は二十年経過後だったことになる。そこで、時効により損害賠償請求権が消滅していたか否かが問題になる。
・判示は、民法724条後段の二十年は除斥期間であるとした上で、後遺障害の事前認定結果が出る前の訴訟提起を求めるのは困難であるし、訴訟準備には通常6ヵ月程度の期間が必要であるので、事前認定から訴訟提起までの経過は損害賠償請求権を行使するための一連一体の行為と捕らえることができるから、本件は交通事故から二十年の除斥期間内に権利行使されたと見るのが相当であるとして、時効の主張を認めなかった(判示については当職が要約)。
・要するに、事前認定結果が出たのが二十年ぎりぎりに近い時期だった場合、事前認定から6ヵ月内に訴訟提起すれば除斥期間内だったことにしてしまおうという裁判例。なかなか豪快な判断ですが、訴訟準備に本当に6ヵ月もかかるのかはちょっと疑問かもしれません。

広島 齋藤法律事務所 弁護士齋藤有志

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